パジャマ人間

日常の思考や嗜好やなにかの感想など備忘録的に書いています。

映画『サスペリア』(監督:ルカ・グァダニーノ)

1977年。舞踏団マルコス・ダンス・カンパニーのオーディションを受けるために、アメリカからベルリンへやってきたスージーは、素晴らしいダンスを披露しオーディションに合格する。舞踏団の団員たちは宿舎で共同生活を送る決まりだ。団員のパトリシアが去ったばかりで宿舎の部屋にちょうど空きができたという。

パトリシアは行方不明になる前に、心理療法士のクレンペラー博士のもとを訪れていた。博士は、魔女の妄想を語り幻覚を見ている様子だったパトリシアの失踪に不信感を抱き、彼女の行方を探し始める。過去、博士の妻のアンケも行方不明になっているので、気になったのかもしれない。

 

前半、ずっと雨が降っていた。気分が沈むような雨音がずっと聴こえている。

怖いというより、不気味で閉鎖的で気持ちの悪い映画だった。なのに、妖艶で官能的で目が離せない。

時折差し挟まれるスージーの見る悪夢の映像も、絶妙に気色悪くて、やはり目が離せない。

文化の違いなのか宗教観の違いなのか、魔女というものがどういうものなのかわからず、何が起こったのか私にはうまく理解できなかった。だが、気味の悪い儀式を盛大に決行し、それによって何かすごいことが起こったのだということはわかった。

パトリシアの行方を探るクレンペラー博士は巻き込まれて酷い目に遭い、めちゃくちゃ気の毒だった。クレンペラー博士、もうおじいちゃんなのに、体力も精神力も限界だよ、やめたげてよぉ!と思いながらもどうしてもスクリーンに釘付けになってしまう。だが、ラストでは博士には救いの光が見えたので(たぶん)、ちょっとホッとした。

クレンペラー博士はおじいちゃんだが、博士を演じているのは舞踏団の指導者である女性、マダム・ブラン役も演じているティルダ・スウィントンさんとのこと。彼女はこの映画で一人三役をこなしているのである。すごい。びっくりした。

クレンペラー博士の「妄想とは真実を語る嘘だ」という言葉が印象的だった。

(※ダリオ・アルジェント監督の『サスペリア』は未鑑賞です。)

youtu.be

ツーブロックだよ、どうもね!

現在の髪型は、パッと見た感じでは昭和っぽい普通のショートカットなのだが、実は両サイドの内側だけをバリカンで刈ってもらい、その上から髪の毛を被せて刈った部分を隠している。いわゆる「隠しツーブロック」というやつである。

これが、とてもラクチンな髪型で、どうしてもっと早くやらなかったのかと悔やんでいる。中学生の頃の髪型迷子の私にも、この便利なヘアスタイルを教えてやりたい。

私は昔から、ショーットカットの女性とポーニーテールの女性が好みである。なので自分もショートにしたいのだが、問題がある。髪の毛の生える方向と硬さの関係で、もみあげが浮くのだ。いくらワックスをつけようがブローしようが、荒ぶるもみあげは静まらない。必ず浮くのだ。あれさえなければなあ、と中学生の頃から思っていた。仕方がないので、いつもはサイドを少し長めに切ってもらって、髪の毛を耳にかけて無理矢理ショートっぽくしていた。落ちてきた髪の毛を耳にかけ直すのが邪魔くさいのでなんとかならないかと思っていた。

そんなとき、隠しツーブロックが流行り始めたのだ。なにこれ、よさそう。いっそもみあげを刈りとってしまえば浮くことはないのではないか、と思った。

だが、私にとっては初めての試みのため、なかなか踏ん切りがつかずに、もっさりとした髪型のままぐずぐずしていた。サイドにバリカンを入れるのは、勇気がいる。気分は自らが被験者の人体実験だ。

背中を押してくれたのは、おしゅしである。

おしゅしというのは、まぐろのお寿司をモチーフにしたキャラクターで、私は、おしゅしが大好きなのだが、好きすぎてその生みの親であるやばいちゃんさんのことをネットで調べていたときのことだ。やばいちゃんのインタビュー記事を見つけ、そこにはやばいちゃんのお写真も掲載されており、おお! と思った。やばいちゃんはツーブロックだったのだ。赤い髪の色と白いニットはまるでおしゅしだ。はちゃめちゃにかっこいい。

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すぐに美容院に予約を入れ、すぐにツーブロックにした。

サイドは、疑似もみあげを上からファサッとかけているだけの状態なので、地面と平行に髪の毛が生えるもみあげ部分もペタンコに見えて、すっきりとコンパクトでとてもよい。洗髪も楽だし、乾きも早い。

私はだいたい二ヶ月に一回の頻度で美容院へ行くのだが、ツーブロックにしたあとは、そろそろ切りたいな、と思い始めたくらいの時期がだいたい二ヶ月経った頃なので、ちょうどいい。バリカンで刈った部分が伸びても、ボリュームが出過ぎるというような問題は特になく(多少は出るが許容範囲)、結果、いろいろよかった。

他人から見るとただのワカメちゃんかもしれないが、個人的にはこんなに気に入った髪形は今までになかったので、飽きるまではワカメちゃんでいようと思う。

ところで、耳元でバリカンの音を聴いていると、背中がぞわぞわするのはなぜだろう。

阿部暁子『どこよりも遠い場所にいる君へ』

離島の高校に進学した理由あり美形男子高校生、月ヶ瀬和希は神隠しの噂のある立入禁止の入り江で少女が意識を失い倒れているのを見つける。救急車を呼べるような端末を何も持っていない和希は近くにいた高津という大人に助けを求める。救急車を呼び終わり、意識をとり戻した少女に高津は妙な質問をした。

「おまえ、今の西暦はわかるか」

ぼんやりと少女は答えた。

「せん、きゅうひゃく……ななじゅうよねん……」

 

少し不思議なボーイミーツガールストーリーではあるのだが、人間のやさしさと醜さをそれぞれ見せつけられるような物語だ。

いろいろあって和希は、逃げるように島の高校に進学した。保護され高津家にしばらく身を置くことになった少女、七緒も1974年でいろいろあったらしく現状から逃げたがっていたようだ。そして、2017年にやってきた。そんなふたりが出逢い、惹かれ合う。

青春大爆発な高校生活の描写と、人間の持つ善意の皮をかぶった悪意の仄暗さが緩急になり、なにより和希と七緒のふたりがどうなるのか続きが気になって一気に読んでしまった。

ラストもカチッとはまって、気持ちがよかった。おもしろかった。

どこよりも遠い場所にいる君へ (集英社オレンジ文庫)

どこよりも遠い場所にいる君へ (集英社オレンジ文庫)