パジャマ人間

日常の思考や嗜好やなにかの感想など

アストリッド・リンドグレーン『やかまし村の子どもたち』(石井登志子訳)

『やかまし村の子どもたち』は、やかまし村という自然豊かな田舎で暮らす子どもたちの、楽しい日常を描いた児童向けの小説である。

小学生のときに、好きで読んでいた。図書館に新装版が入っていたので、懐かしくなって借りてみた。

今回読んだのは、イングリッド・ヴァン・ニイマンさんという方の挿画だが、私が昔読んでいたのは、イロン・ヴィークランドさんという方の挿画のハードカバーのものだった。どちらもかわいい。

 

かまし村には、家が三軒しかなく、その三軒がすぐとなり同士に並んで建っている。

主人公はリーサという名の、七歳の女の子。もうすぐ八歳のお誕生日を迎える。

リーサの家は中屋敷と呼ばれる、三軒の真ん中の家、ラッセ(九歳)とボッセ(八歳)というお兄ちゃんがいる。

他の二軒の家は、北屋敷と南屋敷と呼ばれており、南屋敷にはウッレ(八歳)という男の子がいる。北屋敷にはブリッタ(九歳)とアンナ(七歳)という女の子がいて、リーサはブリッタとアンナが大好きである。

 

さて、『やかまし村の子どもたち』には、子ども心に憧れるポイントがいくつかある。

中屋敷と南屋敷のあいだには垣根があって、そのまんなかあたりに大きな木が生えていて、二軒の家のあいだいっぱいに枝をひろげています。父さんが、ボダイジュって名前だと教えてくれました。そのボダイジュは、ラッセとボッセの部屋の窓にも、ウッレの部屋の窓にも、枝をのばしていて、ラッセとボッセとウッレは、おたがいに会いたくなれば、枝をつたっていけて、とてもべんりなんです。

ザ・おさななじみな描写である。おさななじみあるあるのひとつ、窓から互いの家に行き来できる。憧れる。

さらには、リーサがお誕生日に自分の部屋をプレゼントされるシーン。目かくしをされたリーサが連れて行かれたのは、見たことのない部屋だった。

あたしたちは、いままで見たこともない部屋にいたのです。すくなくとも、あたしは見たことがありませんでした。(中略)ここで、あたしは気がつきました。いま、あたしがいるのは、まえにおばあちゃんがいた部屋だって!

フリーダおばさんのところへ引っ越したおばあちゃんが使っていた部屋は物置になっていたのだが、お父さんとお母さんがきれいにかわいく模様替えしてくれて、リーサにプレゼントしてくれたのだ。素敵。あと、単純に家の中に見たこともない部屋あるというのに憧れたなあ。

そして、リーサの素敵な持ちもののひとつ、ブックマルケン

あたしは、ブックマルケンをたくさん持っています。あたしたちは、学校でブックマルケンのとりかえっこをします。でも、なかには、ぜったいにとりかえたくないのが二十枚あります。いちばんすてきなのは、大きな天使がえがかれたブックマルケンで、ピンクの服に羽をつけています。

謎の素敵アイテム「ブックマルケン」。ブックマルケンとは一体なんなのか。註釈があった。

きれいな絵の印刷されたシート。天使、花、家、動物などいろんな絵柄があり、切りはなせるものもある。女の子たちはブックマルケンを集めたり、友だちと交換したりして楽しむ。

なるほど。「ブックマルケン」を我々の言語で言い換えると、「ビックリマンシール」ということになる。ビックリマンシールには、十字架天使、クロスエンジェル、アローエンジェル、ストライクエンジェルなど天使の絵柄も豊富である。十字架天使は、ピンクの服に羽をつけています。ちょっと服の面積が少ないけど。

他にも、騎神アリババなど下半身が動物の不思議な絵柄もあるし。ヤマト王子や天子男ジャック、ヴィーナス白雪など、いろんな絵柄がある。剥がすと下から別のシールが登場するものもあった気がする。

あと忘れてはいけない、ヘッドロココね。ピンクの服に羽をつけています。

(全然関係ないが、クロスエンジェルが腰に付けているたまごが何故かめちゃくちゃ好きだった。なんだっけ、あのたまご。十字架のかたちのバズーカみたいなのにたまごをこめて撃っていたように記憶している)

話がそれてしまったが、他にも、ブリッタとアンナのおじいちゃんに氷砂糖をもらったり、こねこを飼ったり、干し草小屋にお泊りしたり、やかまし村の子どもたちは楽しいことをたくさんして過ごしている。

小学生のころと同じようにはわくわくできなかったが(もう私はクローゼットの奥の釘に秘密の鍵を隠しておくような年齢ではないのだ)、当時のわくわく加減を思い出しながら楽しく読んだ。

やかまし村の子どもたち (岩波少年文庫(128))

やかまし村の子どもたち (岩波少年文庫(128))

 
やかまし村の子どもたち (リンドグレーン・コレクション)

やかまし村の子どもたち (リンドグレーン・コレクション)

 

パジャマ人間

現在は手元にない懐かしい漫画を全くのうろ覚えで軽率に紹介してみる

思い付いた順。

あらすじなどはすべてうろ覚えなので、話半分に読んでいただきたい。

 

荻野真『小類人』

「ちゃいるど」と読む。「ちっちゃい」の「ちゃい」だった。なんか、昔からずーっといる、ずっと子どもの姿の、そういう人類の種類だったのかな。最終的に亜大類人(あだると)や大類人(おおるど)とか出てきた。女の子の乳首とかくっきりばっちり描いてあって、ちょっとエロかった気がする。あと、なにかあると「うん?」ってよく言ってた。「ん?」「あれ?」「え?」「なにこれ?」すべてに遣える「うん?」。

小類人 第1巻

小類人 第1巻

 

 

外薗昌也『犬神』 

どこかから逃げ出してきた犬。額から触手を出し、人語を解する。名前はニジュウサンだったかな。キーパーソンの桐生という男が雨宿りしている大きな木の下で無表情でセーラー服の女の子に抱きついていたのが怖かった。こいつ何してんだろ気持ち悪っ、と当時は思っていたけど、今ならわかる。たぶん、無理矢理どうにかしようとしていたんだ。でも、本当にそんなシーンだったのか覚えていない。『犬神・改』買おうかな。

犬神(1) (アフタヌーンコミックス)
 

 

尾玉なみえ少年エスパーねじめ

こちらは友人に借りて読んだ。めちゃくちゃ笑って読んだ覚えはあるが、内容はあまり覚えていない。「たんこぶ神」とか出てきた気がする。

少年エスパーねじめ 1 (1) (ジャンプコミックス)

少年エスパーねじめ 1 (1) (ジャンプコミックス)

 

 

かずはじめ『明稜帝梧桐勢十郎』

傍若無人な生徒会長の話だった。傍若無人と見せかけて生徒思い的な設定だったと思うが、私は読んでいて勢十郎のことが当時普通に怖かった。

パン屋さんでバイトしたときに、クリフが焼きたてのパンを食べておいしいって言うシーンが好きだった。その前段階で、クリフが最高級食材で最高級サンドイッチを作っていて、それもおいしそうだった。あと、「めいりょうていごとうせいじゅうろう」って何一つ一発で変換できなくて困る。

 

高橋ゆたか『ボンボン坂高校演劇部』

演劇部の真琴さんに恋をした正太郎くんが、オカマの部長にロックオンされて真琴さんにはゲイだと誤解されるのだが、男性アレルギー?恐怖症?の真琴さんに殴られることなく普通に優しく接してもらえるため、ゲイのふりをして演劇部に入部する話。高橋ゆたか先生の絵が大好きだった。電子書籍で買い直そうかなあ。

 

高橋ゆたか『魔女娘ViVian』

ビビアン(巨乳)とアラウネ(美脚)という魔女が主人公の男子高校生を取り合う話。もう一度言うが、高橋ゆたか先生の絵が大好きだった。女の子がめっちゃくちゃきれいでかわいいんだよ。

 

なにわ小吉『王様はロバ』

前半、人物に鼻が描かれていなかったが、後半は鼻を描くようになった。というのをものすごく覚えている。あと、「疾風の速水」というのがあったのも覚えている。

 

久米田康治『行け!!南国アイスホッケー部』

こちらも友人に借りて読んでいた。主人公の月斗が「はーん!!」ってよく言ってたイメージ。女の子の名前が車の名前で、そあら。姉妹に「とれの」と「せりか」がいたように思う。下ネタ連発の漫画で、「前かがみ」や「テントを張る」などの意味はこの漫画で知った。ひとりの漫画家さんの絵が、徐々に変化していき、もう最終的には別人の描いた絵のようにすっかり変わってしまった様を目の当たりにしてしまい、そういう意味では衝撃だった漫画かもしれない。

 

猫山宮緒『エデンへおいで』

十代とかの若い役者の話。とにかく絵がきれいで大好きだった。主人公が役で男装しているのとかめっちゃ好きだったなあ(性癖)。

『フライングドラゴン』『上海特急』など、作中作の漫画も好きだったが、『エデンへおいで』を含めどれも未完だった気がする。 

絵がとてもきれいで好きだった。中性的な人物がとにかく美しい。

エデンへおいで 第1巻 (花とゆめCOMICS)

エデンへおいで 第1巻 (花とゆめCOMICS)

 
フライング・ドラゴン (1) (花とゆめCOMICS (2089))

フライング・ドラゴン (1) (花とゆめCOMICS (2089))

 
上海特急 (花とゆめCOMICS)

上海特急 (花とゆめCOMICS)

 

 

湖東美朋『どーにかしたい!!』

ジャニーズの架空のグループ「HOPPERS(ホッパーズ)」の物語。ジュニア時代に大好きだった蘇我くんの消息を知るため、弟をジャニーズに入れてしまったお姉ちゃんの話。絵がきれいでかわいくて整っていた。実在のジャニーズのグループも登場して、わくわくしながら読んだ。巻末にジャニーズのレポやインタビューなども載っていて楽しかった。弟のゆうくんの好物の「いちご牛乳チョコ」(字面スイート)がおいしそうだった。いろんな権利やら利権の関係でもう電子書籍化は望めなさそうだし、手放すんじゃなかったな。後悔。

 

おーなり由子『六月歯医者』

ちびまる子ちゃん』のおまけページみたいなところで、さくらももこ先生が「おーなり由子ちゃんと遊んだよ」みたいなことを書いていたので、当時興味を持って購入した漫画。

「カッコン!」って抜いた乳歯がビー玉になるの、とても好きだった。少し不思議系の短編集だったと思う。銀杏の女の子もこの本だったかな、どうだったかな。おーなり由子先生も電子書籍を出してほしい。『六月歯医者』も『ともだちパズル』も絶対買うのに。でも仕方がないので古書で買い直そうか迷い中。

 

上野すばる『学校怪談』

合宿か何かで蛇を殺したら呪われた話があったと思う。怖くて直視できなかったので少しずつ読んだ。『幸福堂』は電子書籍で買い直すことができたけど、こちらも是非電子書籍化してほしい。

学校怪談 (講談社コミックスるんるん)

学校怪談 (講談社コミックスるんるん)

 
幸福堂 1巻

幸福堂 1巻

 

 

真柴ひろみ『瞳いっぱいの涙』

主人公の女子高生が先生と付き合っていてデート中に先生の車が人身事故を起こしてしまった。怪我をしたのは主人公の姉。姉はモデルをしていたが、その事故が原因で下半身不随になってしまう。主人公の勧め(?)で先生は責任をとって姉のほうと婚約する。それ以来、パーマをかけたりしてわかりやすくグレる主人公。とにかく、もうなんか暗い!と思いながら夢中で読んで散々泣いた。

 

真柴ひろみ『君だけに輝く』

尾崎豊みたいなシンガーソングライターの男の子との恋物語。男の子がデビューする前から出会っていて、付き合っていることは秘密なんだけど週刊誌に撮られてばれちゃって、ファンから剃刀レターとか届く。手紙を開けようとした主人公の女の子が血を流していた。とにかく、もうなんか暗い!と思いながら夢中で読んで散々泣いた。この先生の漫画は自己犠牲的というか、悲劇のヒロインぽいイメージだったなあ。もう一回読もうかなあ。

 

岩田江利子『ウルフ物語』

一匹狼なので、周りから「ウルフ」と呼ばれている女の子を取り巻くコメディ。美人で勉強もできてスポーツ万能のウルフだが、普通にただ走ると誰よりも遅い。でもバスケットボールをドリブルしながら走ると誰よりも速い。初期のウルフにはまだ恥じらいみたいな感情があったようだが、後期になるにつれ無表情無感情で本当にただのお人形っぽい変人みたいになっていった気がする。

ウルフ物語 1 (マーガレットコミックスDIGITAL)

ウルフ物語 1 (マーガレットコミックスDIGITAL)

 

 

やはりノスタルジーに浸りまくって、心が気持ちよく満たされて非常に楽しかった。

またやりたい。

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小沢真理『苺田さんの話』全6巻

デザイナーを目指し専門学校に通う、一人暮らしの天然で美青年の臼井衣温(イオン)は、ある日ベッドの下で覚えのないリナちゃん人形を見つける。そのリナちゃん人形は動いて喋りはじめた。彼女(彼?)は地球外生命体で、いつの間にかこの地球のこの部屋にワープしてきて迷い込んでしまったらしい。肉体を持たない彼女は以前この部屋に住んでいたおばあさんの愛猫デ・ニーロに憑依した。しかし、おばあさんが亡くなったあと野良になったデ・ニーロは老猫だったこともあり衰弱して亡くなってしまう。新しい器が必要となった彼女は、おばあさんのあとにこの部屋に住み始めたOLが箱に仕舞いっぱなしにしていた寂しいリナちゃん人形に憑依した。しかし動いて喋るリナちゃん人形をOLは受け入れることができず恐怖し、引っ越してしまう。そのままこの部屋に留まった彼女は、イオンに出会い「苺田アン」という名前をつけてもらい、「ここにいればいいやん?」と受け入れてもらった。今まで深い孤独や哀しみにばかりシンクロしてきた苺田さんに新しい感情が芽生え、あふれ出した。イオンは苺田さんにたくさんの服をつくり、悩みを相談したり他愛のないおしゃべりをしたり、苺田さんと過ごすことにより、彼は彼で寂しい気持ちを救われている。

苺田さんはやさしい。イオンもやさしい。イオンを取り巻く人たちも、みんなやさしい。しかし、みんなどこか孤独や寂しさを抱えている。そんな中で誰かに出会って、新しい感情を覚え、そして新しい関係がつくられていく。登場人物たちにシンクロしてしまい思わず涙が出るシーンも多々ある。最後まであたたかい物語だった。イオンが少しずつ成長していく様子を苺田さんと共に見守った。

イオンがつくった苺田さんの部屋がめちゃくちゃかわいいし、イオンが苺田さんにつくってあげた洋服もどれもかわいい。

あー、おもしろかった。と読み終わったあと、もう一度最初から最後まで読みたくなるような漫画。好き。

表紙も全部かわいくて好き。苺田さん、好き。

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