パジャマ人間

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阿佐ヶ谷姉妹『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』

阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』は、そのタイトル通り、阿佐ヶ谷姉妹のお二人が同居生活のあれこれを綴ったエッセイである。

変な言い方だが、とても生活感のある楽しいエッセイだった。

お互いに対してこまごまとした不満もありながらも、楽しそうに仕事をし、生活されている様子が読んでいるこちらにも伝わってくる。

姉妹の部屋の壁や天井になったような気分で、姉妹の生活を見守ることのできるエッセイである。

若い時に戻りたいとは思いません。

(中略)

思い返してみるに、あんな、もやもや20代には戻りたくないと思うのです。

美穂さんの文章から、きっと今の生活が充実しているのだろうと見て取れ、羨ましく思う。そして、「もやもや20代」という表現に、わかるわかるぅ、と共感してしまう。二十代のときって、どうしてあんなにもやもやしていたのだろう、と改めて不思議に思ったりもした。

結局は、美穂さんが「エリコ過多」を訴え、姉妹は引っ越しを決意するのだが、なかなか納得のいく物件が見つからない。物件探しを続けるうちに、「今住んでいるこの場所がすごく好き!!」だということに気付いてしまい、弱り切っていたところ、隣の学生さんが奇跡的に引っ越すことになり、最終的には江里子さんが今住んでいる部屋の隣に移ることになった。

あるべきものは、あるべきところに落ち着くものなのだ。

実際夫婦でも家族でもない2人が、たまたま生活様式を共にしているだけで、本来は個々。

江里子さんはこう書いているが、阿佐ヶ谷姉妹のお二人は、友人であり仕事仲間であり、そして、やはり家族でもあるように私は思ってしまう。お二人が個々であることには違いはないが、やはりお互いが得難い存在なのだと、このエッセイを読み終わった私は勝手に思う。

別々に家を出ながら、ドラッグストアやスーパーで再会したりすると、私はちょっと嬉しくてにやついてしまうのですが、みほさんは私の顔を見るとちょっと眉間にシワを寄せ、「いたな」と言います。

江里子さんの書かれたこのエピソードがかわいくて、とても好きだ。私は、この「いたな」に最上級の親しみを感じてしまう。姉妹の関係を的確に表現しているのではないかと思う。「いたな」と言える関係性を相手と築いているということなのだろう。

私は、どうしてもお二人の生活に自分の理想を重ねて読んでしまう。

お二人はただ日々の何気ない出来事を書いているだけなのだが、始終、いいなー楽しそうだなー羨ましいなー、と思いながら読んでいた。憧れのたくさん詰まったエッセイである。

 

こちらの本にはエッセイの他に、美穂さんの「3月のハシビロコウ」、江里子さんの「ふきのとうはまだ咲かない」という、それぞれの執筆された恋愛小説も収録されている。お二人の嗜好というか癖(ヘキ)というか、こだわりが詰め込まれており、どちらもきゅんとする良い物語だった。

阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし